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【本題】
今回はデータサイエンティストの評価制度を作った話を書いていこうと思います。
経験がある人は少ないと思いますし、現状のデータサイエンティストの評価制度に不満を抱えている人も少なくないはずです。
筆者はデータ分析会社に在籍しており、マネージャー職として仕事をしています。
その立場からデータサイエンティストの評価制度に数年関わっており、評価制度を作った話をまとめていこうと思います。
正直、データサイエンティストの評価制度を作るのはかなり難しいものです。
しかし、自分なりに大事すべきことなどは見えたので、貴重な経験として発信しようと思い、この記事の執筆に至ります。
関連記事は下記が参考になるので、ぜひご覧ください。
では、本題に移ります。
データサイエンティストの評価は難しい
まずは、データサイエンティストの評価は難しいという話です。
なぜなら、データサイエンティストと一言で言っても関連記事にある通り色んな役割があるからです。
こちらを見ていただければデータサイエンティストの様々な役割について理解できます。
データサイエンティストは様々なタイプがいるので、それぞれのタイプをどのように評価すべきかという点が非常に難しい点です。
役割も違えば、価値の出し方も違います。しかし、会社としてはどれも必要なスキルです。
このデータサイエンティストと一概に表現をしているが、中身は色々あるところが難しく、評価制度に落とす点でかなり難しいポイントになりました。
案件によってはコンサルティングのような「ビジネス力」を求められる案件、高度な分析に期待値がある「サイエンス力」を求められる案件、システム化フェーズで「エンジニアリング力」を求められる案件など様々あります。
それぞれをどのように公平性を持った上で、評価すべきかを考えるのは難しい悩みポイントでした。
評価制度で重視すべき点
諸々と数年間評価制度に関わっていると、重視すべき点も見えてきます。
評価制度は会社の風土や文化にも依存します。
会社のカルチャーなどは普段働いていると意識することはありませんが、このような評価制度など仕組みに落とす時には至極実感することになります。
議論が抽象的になりやすく、議論の軸が持てない時に会社のミッションやカルチャーを中心に議論をすることが多くなるからです。
なので、「評価制度は会社の風土や文化が色濃く反映されているべきだ」という結論に至りました。
そのため、会社ごとに重視する点は違うと思います。
筆者が在籍している会社では下記が重要であるという考えに至りました。
- 公平性
- 透明性
- メッセージ性
詳しく解説していきます。
公平性
一つ目は「公平性」です。
当たり前と思われるかもしれないです。しかし、意外と難しいのがこの「公平性」でした。
データサイエンティストとしてビジネスをやる場合はスキルで出せる価値は変わってくるのは当たり前ですが、実は役割自体で出せる価値が変わってきたりします。
具体的にいうと、単価です。
筆者が所属しているデータ分析会社では1人あたりxx万円と人月単価が決まってビジネスをしています。
しかし、コンサルティング寄りの案件、分析寄りの案件、開発寄りの案件でそれぞれ単価が異なることも多いです。
そのため、会社にもたらしている売上・利益がスキルというより、役割で異なってしまうということが発生します。
だからこそ、「公平性」を保つのが非常に難しいポイントです。
各役割別で価値の出し方は違うし、必要となるスキルも違います。また、今後のマーケットでの将来性まで違うということもあります。
単価のみで評価基準を決めてしまうのか、将来性も見込んで評価基準を決めるのか、まさに会社の意思によるものです。
評価制度に向き合って初めて分かったことでした。
透明性
二つ目は「透明性」です。
従業員の評価は「透明性」が担保されているべきという話です。
これは近年、重要な指標である「従業員エンゲージメント」を担保するために必須の観点になります。
データサイエンティストは市場でも需要が高い職業です。
そのため、会社で長く働いてくれるためには従業員エンゲージメントが重要です。
従業員エンゲージメントを担保するために、評価制度の「透明性」が担保されているべきという考えに至りました。
なぜなら、従業員のエンゲージメント・モチベーションが低下しやすいタイミングは評価の時期だからです。
長いこと一生懸命働いて自身が期待する評価につながらなかった時に一気にエンゲージメント・モチベーションの低下につながります。
だからこそ、なぜそのような評価結果になったか?自分になにが足りなかったのか?次のレベルにいくにはなにが必要だったか?を明確に説明できる評価制度であるべきだということが重要になります。
これは事業を作る人材を確保するために重要なポイントであり、「透明性」が低い評価制度を作ると会社運営上リスクになりうるというのが自身が至った結論でした。
メッセージ性
最後は「メッセージ性」です。
これは、評価制度は将来的にこうゆう人材が欲しいと会社が従業員に伝える「メッセージ性」を持つべきだということです。
特に若者が多い会社であれば、すごく重要なポイントになります。
会社としてどのような人材を欲しているか、あなたたちにどのような人材になってほしいか、という「メッセージ性」を評価制度に込めるべきです。
若者たちはキャリアに悩みやすいものです。
だからこそ、会社が一つのキャリアのロードマップを作って上げることが重要であり、これがあると従業員は目指すべき方向性が少し明確になります。
会社は未来を見据えて、従業員に対する期待値を評価制度に落とし込んで、「メッセージ性」を持って、従業員とコミュニケーションすることが重要という結論に至りました。
「抽象」と「具体」のトレードオフが発生する
「抽象」と「具体」のトレードオフが発生する、という悩みをまとめます。
前述した3つの観点を基に評価制度を考える時に、必ず発生する問題です。
評価制度として、「公平性」を担保したければある程度「抽象的」である方が望ましいです。
なぜなら、データサイエンティストという将来性の高い人材は評価の枠組みをはみ出る場合があるからです。
想定していた役割ではなく、新たな役割で特殊な価値を出す場合があり、想定した枠組みをはみ出た評価をせざるを得ない時が多々あります。
その時は、評価する側はある程度抽象的な基準が設けられている方が望ましいです。
超ざっくりいうと「依頼元の信頼を獲得できているか?」などです。その抽象的な基準に映して評価をすることができます。
一方で、「透明性」「メッセージ性」を担保するには「具体的」である必要があります。
実際にどのような基準で評価されるかを明確にすれば、「透明性」「メッセージ性」が担保されます。
例えば、「依頼元の部長級の役職に対して、1人で分析結果の報告ができるか?」などです。
より具体的であれば、部長級に対して1人報告ができる、できないと切り分けが容易になります。
これが具体的であれば、評価の基準は明確であり「透明性」があがります。
さらに「部長級に1人で報告してくれ」という会社の「メッセージ性」もあがります。
しかし、役割によっては部長級と会話する必要がない役割もあり、このような評価基準だと「公平性」が失われてしまいます。
この「抽象」と「具体」のトレードオフは評価制度を考える上で頭を悩ませる問題でありました。
従業員目線で評価制度を考える
一方で、従業員目線で評価制度を考えることも重要です。
従業員目線で考えた際に、各役割で評価基準は違えど、自身が得意としているスキルや周囲の役割より秀でているポイントは評価されてほしいものです。
「メッセージ性」を考慮すると、評価制度で従業員のモチベーションを下げることはあまり望ましくありません。
そのため、各役割での得意領域を評価できる形で制度に落とし込むことが求められ、これまた難しい問題になりました。
ビジネス型ではコンサルティングのような能力、サイエンス型では高度な分析能力、エンジニア型ではエンジニアリング能力などが、秀でているポイントです。
これをどのような形で評価制度に落とし込むかを深く考えました。
キャリアパスを分けて評価する
上記の悩みを解決するために、人事制度にキャリアパスという細分化された概念を作りました。
キャリアパスを一段細かく定義して、役割を明確化して、そのキャリアパス別に評価する仕組みを作ることで、各人の役割・スキルに応じた評価形態に落とし込みました。
下記がイメージ図で➁にあたります。
従来では①、➂の部分がメインの評価制度だったが、新たに➁の評価基準を設けてデータサイエンティストを役割別に評価できる仕組みを作りました。
これにより、「公平性」「メッセージ性」を保ちつつ、データサイエンティストをより解像度を上げて評価する仕組みを構築しました。
「透明性」に関しても向上している側面もありますが、評価制度自体が複雑化しているため、やや低下していると思います。
しかし、従業員目線でのモチベーションを鑑みた時にこのような形で評価制度を作ることでより実態に即した形で評価ができるようになりました。
かなり頭を悩ませた問題でしたが、従来の精度よりは優れた評価制度になったのでは、と個人的には考えています。
データサイエンティストの評価は終わらない
最後に、データサイエンティストの評価に終わりはないという話です。
日々データサイエンティストの役割は変わりますし、データサイエンティストとしての価値の出し方も変わってきます。
そのため、データサイエンティストの評価は時流に合わせて運用し続ける必要があります。
だからこそ、データサイエンティスト自身が評価の仕組みを考えることは重要です。
データサイエンティストでない人間がこの評価の仕組みを考えることは難しいことです。
一見データサイエンティストとしての範疇外と捉えがちな制度設計だが、データサイエンティストが強く関わるべき領域だと実感しました。
また、この経験から市場でどのようなデータサイエンティストが需要があるか、という点で自身の目線を向けるようになったいいきっかけとなりました。
さらに、データサイエンティストとして、自身のスコープを決めずに様々なことに挑戦することが大事だといういい経験にもなりました。
データサイエンティストはデータ分析だけでは価値は出せません。それを肝に銘じてあらゆることに挑戦することが大事であるというのが、一連の経験の学びとなりました。
ぜひ、色んなことにチャレンジして、データサイエンティストとしてキャリアを広げていきましょう!
今回は以上です。