データサイエンティストってかっこいい!となんとなく思ったものの、実際どんな職業なの?やりがいはあるの?忙しいの?などと具体的な仕事内容を理解できていない人も多いのではないでしょうか。
データサイエンティストはやりがい満載のオススメの職業です。
データサイエンティストがあまり知られていない理由はここ数年で現われた職業であり、まだまだ知名度が高くない職業だからです。
私は現役データサイエンティストとして、長らく経験を積んでいますが、データサイエンティストはやりがい・年収・将来性などあらゆる観点でオススメできる数少ない職業です。
この記事ではデータサイエンティストの仕事内容について、解説をしていきます。この記事を読むと、データサイエンティストがどのような仕事であるか理解を深めることができます。
- データサイエンティストはどんな職業?
→データを用いて課題解決を推進する職業! - データサイエンティストの役割は?
→「ビジネス型」「サイエンス型」「エンジニアリング型」の3つに大別! - データサイエンティストの魅力・やりがいは?
→「ビジネスインパクトを生める」こと!
それでは本題へ移ります。
データサイエンティストは「データでビジネス課題を解決する」職業

データサイエンティストは「データを用いて課題解決を推進する職業」です。
あくまでデータは手段であり、目的はビジネス課題を解決することです。
ネットで調べたデータサイエンティストの定義を見てみましょう。
転職支援会社によると、データサイエンティストの定義は各社様々です。
データサイエンティストはここ数年で現われた職業であるため、どのような職業か浸透していないのが現状です。
しかし、データサイエンティストがビジネス現場でどのような価値を提供するのか?ということを考えれば、おのずと答えは見えてきます。
それは「データでビジネス課題を解決する」ことです。
どれだけ難しい分析をしても、高度なAIを作っても課題解決につながっていなければ、価値はありません。
データ分析の結果がビジネス課題の解決につながって初めて、データサイエンティストの価値が発揮されます。
【経験談①】ビジネス課題を解決することが最重要
課題解決することが最重要と感じた筆者の体験談を紹介します。
担当したプロジェクトはサービスの加入者数が目標値に達していないという課題がありました。
課題解決の一つの対策として、既存の広告を最適化して、サービスの加入者を増加させる取り組みを実施していました。
そこで、データサイエンティストの私は機械学習を用いてサービスの加入確率が高い顧客に広告を打って成果を上げることを考えました。
2週間ほどかけて機械学習モデルを構築して、モデルの精度や効果の検証方法をサービス担当の上司に報告しました。
すると、「我々は研究がしたいのではない、ビジネスをやっているんだ」と一蹴されました。
上司が知りたかったことは、その取り組みで得られる期待効果やコスト圧縮効果などのビジネス課題の解決法が重要事項であり、細かい分析などは興味がなかったのです。
このような経験を経て、データサイエンティストの価値は分析することではなく、ビジネス課題を解決することであると実感する貴重な体験でした。
【経験談➁】単純な集計でも課題が解決できれば価値
二つ目の経験談では成功体験を紹介します。
「経験談①」を経て、筆者はビジネス課題をいかに解決するか?を主眼に置いて分析業務を進めるようになりました。
同様のプロジェクトでサービスの再利用率を上げるためにどのような対策が必要か?というテーマについて、データ分析の依頼をもらいました。
今回はシンプルな分析を行い、年代別のサービスの再利用率の簡易的に集計して、40代の再利用率が低いことを示しました。
さらに、40代の再利用率を10%あげることで、サービス全体のサービス利用率を4%向上させられると提言しました。
すると、この分析報告は上司に好評で、よい評価をいただきました。
作業時間は2~3日ほどで、データ分析としては特に苦労した点がない単純作業でした。
しかし、ビジネス課題を解決するという観点でデータ分析を実行して、報告した点が評価されたポイントでした。
このような経験を経て、単純な簡易集計の結果でもビジネス課題の解決につながればデータサイエンティストの価値は発揮できることを学びました。
経験談①、➁共に極端な例ですが、重要なことはデータを活用してビジネス課題を解決することがデータサイエンティストの価値ということです。
データサイエンティストの役割は3つのタイプに大別

本章ではデータサイエンティストを細分化して役割を解説します。
データサイエンティストの役割は様々あります。それは、データの活用方法に応じて専門性が変わるからです。
データサイエンティスト協会が示している通り、データサイエンティストは3つのスキルが求められます。
「ビジネススキル」「サイエンススキル」「エンジニアリングスキル」です。
同様にデータサイエンティストの役割も「ビジネス型」「サイエンス型」「エンジニアリング型」に大別できます。
データサイエンティストには3つのスキルが必要
データサイエンティスト協会が実施した調査結果の中でも各企業が必要としているデータサイエンティストは様々であることがわかります。

- タイプ①「ビジネス型」:ビジネス課題を抽出し、データを分析・活用して課題を解決できる人材
- タイプ➁「サイエンス型」:統計学、人工知能などの情報科学系の知識を理解し、統計ソフトなどを用いた専門的な分析ができる人材
- タイプ➂「エンジニアリング型」:データ分析を目的とし、プログラミング知識を使ってデータの収集、加工やシステムへの実装、運用ができる人材
必要とされるデータサイエンティストは各タイプでそれぞれ必要な割合は一定数存在することがわかります。
最新の調査では「ビジネス型」と「サイエンス型」が増加しています。

データサイエンティストは様々な課題に対して、データを活用して課題解決を推進します。
それぞれのタイプに応じて得意とする役割が異なります。ここではその代表的な例について解説していきます。
ビジネス型:複雑なビジネス課題を特定して、課題解決を推進する役割
「ビジネス型」のデータサイエンティストの代表的な役割は「複雑なビジネス課題を特定して、課題解決を推進する役割」です。
ビジネスは様々な要因が組み合わさって、複雑な構造になります。
自社のサービスの良し悪し・競合状況・市場全体の動き・経済の状況・・・など、その要因は様々であり、それぞれの要因が絡み合って動きます。
「ビジネス型」のデータサイエンティストはその複雑な構造に対して、データを使って「仮説→検証」を繰り返しながら構造を明らかにします。
構造を理解して「真に解決すべき課題はなにか?」を明らかにすることで、ビジネスの課題解決を推進します。
このように、複雑なビジネス課題に対して、データを活用して課題推進することが「ビジネス型」のデータサイエンティストの代表的な役割です。
サイエンス型:保有しているデータの価値を最大化する役割
「サイエンス型」のデータサイエンティストの代表的な役割は「保有しているデータの価値を最大化する役割」です。
既に保有しているデータを多角的に捉えて、新たなデータ活用のアプローチを具体化・実行します。
画像データを例にすると、従来までは「単なる写真」のように捉えられていた画像データを「人物特定するデータの一つ」と捉えることができます。
人物特定をするために必要な高度なアルゴリズムを設計・実装・改善して、「単なる写真の集まり」から「人物特定するシステム」を作りあげます。
このように、先進的な「サイエンス力」を活用して、保有するデータの価値を最大化させるのが、「サイエンス型」のデータサイエンティストの代表的な役割です。
エンジニアリング型:データを一覧化して活用できる環境を整備する役割
「エンジニアリング型」のデータサイエンティストの代表的な役割は「データを一覧化して活用できる環境を整備する役割」です。
企業のシステムは「継ぎ足し」で開発されることが多く、システム間のデータ共有ができないことが頻繁に発生します。
システムの複雑化は大企業になればなるほど、膨大なシステムが存在し、データ活用時の大きな課題となります。
データ活用を推進するには各システムに散在しているデータを一つのシステム上に集約する必要があります。
データを集約するシステムを設計・開発するのが「エンジニアリング型」のデータサイエンティストの役割です。
設計フェーズではシステムの全体像を描いて、最適なシステム設計をします。
開発フェーズでは課題管理やスケジュール管理を行い、システムの実装をマネジメントします。
このように、散在しているデータを集約して活用できる環境整備を推進するのが、「エンジニアリング型」のデータサイエンティストの代表的な役割です。
データサイエンティストのやりがいは「ビジネスインパクトを生めること」

データサイエンティストのやりがいは「ビジネスインパクトを生めること」です。
「ビジネス型」「サイエンス型」「エンジニアリング型」のどのタイプであっても大きなビジネスインパクトを生むことができます。
本章では各タイプがどのように大きなビジネスインパクトを生みだしすかの代表例について紹介します。
「ビジネス型」マーケティング効率の改善で数億~数十億円のインパクト
「ビジネス型」が大きくインパクトを出せる領域に「マーケティング」領域があります。
マーケティング予算規模を見るために、代表的な広告宣伝費をみてみましょう。
下記は東洋経済が調査した広告宣伝費が多い会社ランキングです。大企業ともなると、広告宣伝費は2,000億円以上の予算が充てられていることがわかります。
また、翔泳社が調査した結果によると、今後3年間でマーケティング予算が増加すると答えた企業は全体で55%を越えています。


「ビジネス型」のデータサイエンティストはデータ分析を活用して、マーケティング効率の改善します。
マーケティング領域は予算が膨大であるため、数%効率を高めるだけで数億円・数十億円ものインパクトを生むことができます。
「サイエンス型」レコメンドシステムの精度は売上に直結
「サイエンス型」が価値を発揮する領域の一つに「レコメンドシステム」の構築があげられます。
AmazonやYouTubeなどでよく見られるオススメ機能です。
近年ではレコメンドシステムの性能がサービスの売上に直結しています。
マッキンゼーの調査によると、Amazonでは全体の売上の約35%がレコメンドシステムから生み出されているという結果があります。
また、Netflixでは4人に3人がレコメンドシステムの推薦する映画を選択しており、総視聴時間の80%を占めています。
35 percent of what consumers purchase on Amazon and 75 percent of what they watch on Netflix come from product recommendations based on such algorithms.
https://www.mckinsey.com/industries/retail/our-insights/how-retailers-can-keep-up-with-consumers
21年度のAmazonのオンラインストアの売上は2220億7500万ドル(約30兆円)にも昇ります。
このうち、35%(=約10兆円)もの売上がが「レコメンドシステム」によって生み出されたものです。
「サイエンス型」のデータサイエンティストは高度な統計的知識を基にレコメンドシステムの改善を図ります。
レコメンドシステムの精度を1%改善することに何十、何百時間と時間をかけることはざらにあります。
それほどレコメンドシステムの重要性が高く、ほんの数%の精度改善が何億・何十億円もの売上を生み出すことができるからです。
「エンジニアリング型」データサイエンスの環境構築は成長市場
「エンジニアリング型」のデータサイエンティストは「分析環境の構築」という点で活躍します。
上記で説明した「ビジネス型」「サイエンス型」が分析するプラットフォームを構築することで生み出せるビジネスインパクトは一目瞭然です。
効率的な分析環境を構築することで、十億~百億円単位のビジネスインパクトを生むことができます。
実施に分析環境の市場は急速な拡大が見込まれる調査結果があります。
株式会社グローバルインフォメーションの市場調査レポートによると、データサイエンスプラットフォームの市場規模は2021年の953億米ドルから年平均で27.7%で成長していくと予測されています。

このように分析環境の構築は世界的に見ても成長市場で、今後さらに拡大していくことがわかります。
データサイエンティストでしんどい・辛いと感じた瞬間

どのような職業でもメリット・デメリットはあります。
ここでは、データサイエンティストをやっていてしんどい・辛いと感じた瞬間を紹介していきます。
主に下記の3点です。順番に解説していきます。
- 突発的に忙しくなる瞬間がある
- 責任重大
- 学び続ける必要がある
突発的に忙しくなる瞬間がある
データサイエンティストは突発的に忙しくなる瞬間があります。データ分析をビジネスに活用する上で、タイトなスケジュールが設定されるためです。
ビジネスの現場はスピード感が命です。
迅速な意思決定を下すために、データ分析にもスピード感が求められます。
さらに、データ分析は結果を基にさらなる分析を求められることが多く、追加の宿題事項をもらうことが多い業務です。
特に、重役との重要会議や予算の策定時期など重要な意思決定が必要な時期が近づいてくると業務量は増えます。
そのため、重要な会議の直前などは忙しくなり、仕事に忙殺されることが多々あります。
責任重大
データサイエンティストはビジネスインパクトを大きる出せる反面、分析に対する責任は重大です。
一つのミスが誤った意思決定を促し、何十億円もの損失を出してしまうとこともあります。
大きなビジネスインパクトを生むことはそれ相応のプレッシャーがかかる仕事であるため、慎重にデータ分析を進める必要があります。
そのため、あらゆる観点からデータ分析の妥当性をテストして分析の信頼性を担保するのですが、この作業はかなり地道な作業で神経をすり減らす瞬間です。
学び続ける必要がある
データサイエンティストは常に学び続ける必要があります。
データサイエンス業界の技術の移り変わりは日進月歩です。次から次へと新たな技術が生まれてきます。
加えて、ビジネス環境も日々変化していきます。
そのため、新たな技術を学び続けながら、日々移り変わるビジネス環境も理解する必要があります。
新たな技術を常に学ばなければ、トレンドについていけずに業界から置いていかれてしまいます。
ビジネス環境を理解できなければ、データサイエンティストとして価値が出せません。
自身で業界のトレンドにアンテナを張りながら、常に情報収集・自己研鑽が必要な点はデータサイエンティスト特有の苦労ポイントです。
辛いことがあってもデータサイエンティストはオススメの職業
そんな辛いことがあるデータサイエンティストですが、それでも筆者はデータサイエンティストをオススメします。
その理由は下記です。
- やりがいある楽しい職業だから
- 将来性があるから
- 様々なキャリアプランがあるから
「将来性」や「キャリアプラン」については下記に解説しています。
【現役データサイエンティストが徹底解説】データサイエンティストの将来性 | 未経験から3か月でデータサイエンティストになる方法 (digital-transformation-blog.com)
【まとめ】データサイエンティストはやりがい満載の職業
データサイエンティストはやりがい満載の職業です。
下記、本記事のまとめです。
- データサイエンティストはどんな職業?
→データを用いて課題解決を推進する職業! - データサイエンティストの役割は?
→「ビジネス型」「サイエンス型」「エンジニアリング型」の3つに大別! - データサイエンティストの魅力・やりがいは?
→「ビジネスインパクトを生める」こと!
今回は以上になります。
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