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DSマネージャーがCTOになるまで|転身の判断【体験談】

データサイエンティストのマネージャーからCTOへの転身の判断を、転身した本人の視点で記録する記事のアイキャッチ
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データサイエンティストのマネージャーからCTOへの転身は、分析職の昇進ではなく、担当範囲の入れ替えです。入れ替わるのは、意思決定がどこで起きるか、成果が何で測られるか、技術とどれだけ近い距離で働くかの3つになります。

2010年代後半からデータサイエンティストとして働き、約500名規模の企業で100人規模の組織のマネージャーを務めたあと、私は2025年に30名規模の非テック企業のCTO兼CAIOへ移りました。この記事では、判断の材料にした2つの基準、マネジメント職を手放すときに何を見たか、転身して増えたものと減ったものを記録します。

この記事でわかること
  • DSマネージャーとCTOで入れ替わるのは、意思決定の位置・成果の測られ方・技術との距離の3点
  • 判断の軸は、AIのトレンドに乗れるかと、AIの一次体験を自分で積めるかの2つだけ
  • 転身後は扱えるデータの自由度が下がり、AIを使って自分で動かせる範囲が広がった

DSマネージャーとCTOでは、仕事の何が入れ替わるのか?

入れ替わるのは、意思決定の位置・成果の測られ方・技術との距離の3つです。分析の精度を上げる仕事から、何をやらないかを決める仕事へ移ります。役職が1段上がるという変化ではなく、担当する範囲そのものが別のものに置き換わる移動になります。

3つの入れ替わりを並べると、次のようになります。

観点データ組織のマネージャーCTO
意思決定の位置担当する領域の中で決める会社全体で技術を何に使うかを決める
成果の測られ方分析と組織の運営で測られる業務が実際に変わったかで測られる
技術との距離実装はメンバーが担当する自分で触る場面が戻ってくる

CAIOという役職については、公的な文書に役割の定義があります。デジタル庁の「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」2.0版(2026年6月)は、各府省に置くAI統括責任者(CAIO)を、生成AIの利活用を把握・推進し、ガバナンスとリスク管理を総括する役割と定めています。

デジタル庁の同じガイドラインでは、CAIOが職員に向けた生成AIの利用ルールを策定することも役割に含まれています。府省向けの定義ですが、AIを何に使うかを決める側とそのリスクを引き受ける側を1人に寄せるという設計自体は、企業でCAIOを置く場合にも取れる形です。

30名規模の非テック企業では、意思決定の位置・成果の測られ方・技術との距離が同時に入れ替わりました。データ組織の運営を見る側から、会社としてどの業務に技術を入れるかを決める側へ移ったのが、私の場合はいちばん大きな変化になっています。

転身したあとの動き方そのものは、FDEとは?元DS→現CTOが仕事の実態を解説【2026】で仕事の中身として整理しています。

なぜ分析組織のマネージャーから役割を変えたのか?

分析の仕事に不満があったからではなく、担当できる範囲を変えたかったからです。分析の外側にある意思決定まで自分の担当に入れたい、というのが役割を変えた理由になります。職種を変えたというより、扱う技術と決められる範囲を選び直した、という順序でした。

役割を変えた背景には、分析の実務がAIでどこまで置き換わるかという見立てがあります。この見立ての中身と、転職理由としての言語化はデータサイエンティストの志望動機|面接官が見る3つの軸に書いてあるため、この記事では繰り返しません。

役職が上がることは、転身を決めた時点では目的になっていません。何を担当するかを先に決め、その結果として役職が付いてきた、という順番になっています。

転身を決めるとき、何を判断の軸にしたのか?

軸は2つでした。AIのトレンドに乗れるかどうかと、AIの一次体験を自分で積めるかどうかです。この2つを先に決めていたため、打診を受けてから決めるまでに、私は選択肢を並べて比べる時間をほとんど取っていません。

1つ目の軸は、これから伸びる技術の側に自分の時間を置けるかどうかです。分析の技術を深める方向ではなく、環境を変えてAIの側へ移ることを先に決めていました。

2つ目の軸は、その技術を人から聞くのではなく、自分の手で触れる場所かどうかです。導入した結果がうまくいったかどうかまで自分で見られる位置にいることを、私は条件にしていました。

軸を2つに絞ると、論点にならないものが決まります。役職の格、肩書きの通りのよさ、そして100人規模の組織を離れることは、どれも判断の材料から外れました

迷いが少なかったのは、決断が速いからではありません。基準が先にあると、選択肢を横に並べて比較する作業そのものが不要になる、という構造の話です。

打診がリファラル経由で、他社と並行して比べる状況になかったことも効いています。複数社を比較する前提の転職では、軸を先に決めたうえで比較する、という順番になります。

軸が2つに決まるまでは、判断そのものが始まりません。何に乗るかと、それをどこで触るか。この2つに答えを出す作業のほうが、打診に答える作業より前にありました。

転身先として中小企業を選んだ理由は、データサイエンティストからFDEになるには?現実的な転身ルートを解説【2026】に、転身ルートの4分類とあわせて書いています。

マネジメント職を手放す判断は、どう付けたのか?

引っかかりは多少ありましたが、決定打にはなりませんでした。技術のトレンドが変わることが見えていたことと、プレイヤーに戻ること自体が技術のキャッチアップになると考えたことの2つが理由です。

100人規模の組織のマネージャーから、30名規模の企業のCTOへ移ると、動かす人数は減ります。ただし減ったのは人数であって、担当する範囲はむしろ広がりました。会社全体で技術を何に使うかが担当に入るためです。

マネジメントを続けるか、自分で手を動かすかという二択の立て方も、していません。どこかのタイミングでプレイヤーの動きに戻ることは技術のキャッチアップになる、というのが当時の見方でした。

手放すかどうかの判断も、結局は一次体験を自分で積めるかどうかに戻っています。積み上げたものが切れることへの引っかかりより、自分で触れる場所にいることを優先しました

周囲の反応として覚えているのは、役職についてではなく、規模の小さい会社へ移ることへの驚きでした。

規模への驚きに対しては、AIで業務を変えるという目的を説明しています。目的を先に置くと、小さい組織のほうが業務を変えやすいという点で、一定の納得は得られました。

一方で、経歴として整っていると評されることもありました。ただ、私自身はビジネス寄りの人間だという自認があり、CTOという肩書きは自分にはあまり馴染みません。肩書きと自認がずれること自体は、判断には影響していません。

マネジメントの経験そのものを軽く見ているわけではありません。データ組織でマネジメントを積む意味は、データサイエンティストはマネジメントを重要視しよう【キャリアを伸ばす秘訣】に書いています。

転身して、できるようになったこと・できなくなったことは何か?

できなくなったのは、扱えるデータの自由度を保つことです。できるようになったのは、AIを使って自分で動かせる範囲を広げることです。この2つは同時に起きていて、片方がもう片方の埋め合わせになる関係にはありません。

30名規模の企業に移ってから、私が扱えるデータの量そのものが少なくなりました。データを活用するという目線で見ると扱いづらい場面が増え、選べる打ち手の自由度は下がりました。

増えたのは、AIを使って自分で動かせる範囲です。うまくいったことも、いかなかったことも、自分で踏んだうえで次を決められます。

結果として、先端の技術の学習が実務の中でできています。読んで知る形ではなく、手元で動かして確かめる形で残るのが、いまの環境で得られているものです。

データを失い、実践の機会を得た、という交換になっています。どちらかを勝ちとして書ける取引ではなく、扱える対象が減り、自分で試せる回数が増えた、という非対称な入れ替わりです。

同じ転身を考えるなら、何を確認しておくといいか?

確認しておくとよいのは3点です。意思決定がどこまで自分の担当に入るか、技術に触れ続けたいのかどうか、その会社に技術で解ける課題が残っているか。2025年の転身で自分が下した判断を、確認項目の形に置き直しました。

3点はいずれも、他人の転身を観察して確かめた条件ではありません。自分の判断を後から分解して導いた推論であり、同じ条件が誰にでも当てはまるとは限りません。

1点目は、意思決定がどこまで自分の担当に入るかです。役職名からは読み取れないため、技術の使い方を決める場に自分が入るのかどうかを、着任前に確認します。

2点目は、技術に触れ続けたいのかどうかです。マネジメントを続けたい人にとって、プレイヤーの動きが戻ることは条件の悪化になります。

3点目は、その会社に技術で解ける課題が残っているかです。課題が残っていない環境では、AIを入れても業務は変わりません

求人を外から見るだけでは埋まらない部分は、転職支援サービスに聞く形でも確認できます。サービスごとの守備範囲の違いはIT転職エージェント比較|支援側と採用側が語る選び方にまとめてあります。

よくある質問

CTOとCAIOは何が違いますか?

責任の対象範囲が違い、CTOは技術全般を対象にした役職の呼称であるのに対し、CAIOはAIに範囲を絞った役職です。デジタル庁のガイドライン2.0版(2026年6月)は、CAIOをAI統括責任者と位置づけ、生成AIの利活用の推進とガバナンス・リスク管理の総括を役割としています。1人が兼務する場合もあり、私は2025年から両方を兼ねています。

マネジメント経験がないと、CTOのような役割には移れませんか?

必須ではありません。CTOの担当範囲は組織ごとに決まるため、30名規模の企業のように、技術の使い方を決めることが中心で、大きな組織の運営が前提にならない場合があります。ただし、予算や採用の判断が含まれる役割であればマネジメントの経験は問われるため、募集の中身がどちらなのかを確認するのが先になります。

転身後もデータ分析の仕事はできますか?

できますが、量は減ります。規模の小さい企業は扱えるデータの量が少なく、私の場合も、データが減ったぶん分析でやれる範囲は狭くなりました。データ活用を役割の中心に置きたいのであれば、データが十分にある組織を選ぶ側の判断になります。

転職せずに、いまの会社で役割を変えることはできますか?

できます。担当範囲を入れ替えるという意味では、会社を変えることは条件ではありません。ただし、技術の使い方を決める場に入れるかどうかは組織の構造で決まるため、いまの会社でその場に入れる見込みがあるかを先に確認し、見込みがないなら環境を変えるほうが早くなります。

まとめ

データサイエンティストのマネージャーからCTOへの転身は、昇進ではなく担当範囲の入れ替えです。判断の軸にしたのは、AIのトレンドに乗れるかどうかと、AIの一次体験を自分で積めるかどうかの2つで、軸を2つに絞ると役職の格や組織の規模は論点から外れます。転身後は扱えるデータの自由度が下がり、自分で試せる範囲が広がりました。

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ぬるったん
元データサイエンティスト、現在は非テック企業のCTO兼CAIO|AI活用の企画から実装まで一気通貫で担当|約500名規模の企業で100人規模のデータ組織のマネージャーを経験|面接担当は100人以上|未経験からデータサイエンティストに転職した経験あり

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